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【獣医師監修】猫の糖尿病を解説!原因・症状・治療・食事管理のポイント

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猫の糖尿病は、血糖値が慢性的に高くなり、尿に糖が出続けてしまう代謝の病気です。
放っておくと体重減少や脱水、合併症、さらには命に関わる病気に進行することもあり、適切な診断と治療、食事・体重管理、ストレスへの配慮が重要となります。
今回は、猫の糖尿病について解説いたしますのてわ、是非最後までご覧ください。

猫の糖尿病とは

私たちの体と同じく、猫の体の細胞もブドウ糖を主要なエネルギー源として働いています。ブドウ糖は、食事から吸収され、肝臓や筋肉にグリコーゲンとして蓄えられ、必要に応じて血液中に放出されます。
このとき、血液中の糖の濃度(血糖値)をコントロールしているのが、膵臓から分泌されるインスリンです。
インスリンの量が不足したり、うまく効かなくなると、以下のような症状が出ることがあります。

  • 常に血糖値が高い状態が続く
  • 尿の中に糖が漏れ出る
  • 代謝のバランスが崩れ、「食べているのに痩せる」「水を異常に飲む」といった症状が起こる

猫の糖尿病の種類と原因

インスリン依存性と非依存性
猫の糖尿病は大きく次の2タイプに分けられます。

1.インスリン依存性糖尿病(IDDM)

膵臓のランゲルハンス島β細胞が破壊され、インスリンが分泌されなくなるタイプ
多くの猫でこちらの病型がみられ、生きていくために外からインスリンを補う治療が必要になります

2.インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)

インスリンはある程度出ているものの、肥満などによるインスリン抵抗性、分泌量の軽度低下 により血糖コントロールが乱れるタイプ
一部の猫では、糖毒性や併発疾患が改善するとインスリン注射をやめられることもあります
NIDDMが全猫糖尿病の25〜40%を占めると報告されており、猫では2型(インスリン抵抗性)の病態が比較的多いと考えられています。

肥満・ストレス・併発疾患との関係

肥満と慢性的なストレスが糖尿病の発症要因であり、管理にも大きく影響することが指摘されています。

肥満
・インスリンの効き目を悪くし、インスリン抵抗性を高める

ストレス
・環境変化、新しい同居動物、家族構成の変化、病気による痛みなどが血糖値を上昇させる
・歯周病・皮膚病・膵炎・消化管疾患・アレルギー・膀胱炎などの併発疾患も、血糖コントロールを不安定にする

猫の糖尿病は、インスリン分泌の問題に加え、肥満・長期ストレス・他の病気・薬剤など、複数の要因が絡み合って発症・悪化する病気だといえます。

猫の糖尿病で見られる主な症状

糖尿病の症状は1つではなく、太った猫・痩せた猫いずれでも起こり得るとされています。

代表的な症状は次の通りです。

  • 多飲多尿(たくさん水を飲み、尿の量・回数が増える)
  • 食欲はある、または増えているのに痩せてくる
  • 逆に、肥満の猫で糖尿病になるケースもある
  • 尿のにおい・色の変化、尿が濁る(尿中に細菌・膿が混じる)
  • 元気がない・毛づやが悪い

病気が進行し、糖尿病性ケトアシドーシスという重い状態になると、以下のような症状になることがあります。

  • 激しい脱水
  • 呼吸が荒い
  • ぐったりして動かない
  • 嘔吐
  • 昏迷

診断方法

糖尿病が疑われる場合、動物病院では主に以下のような検査を行います。

血液検査(血糖値の測定)
・通常は朝食を抜いた状態で採血し、空腹時血糖値を測定
・糖尿病症例報告では、空腹時血糖値200 mg/dL以上かつ尿糖陽性を診断基準としています

尿検査
・尿中の糖(尿糖)をチェック:正常では陰性
・ケトン体の有無も確認:ケトン体陽性であれば、エネルギー代謝の重い異常と危険な状態が示唆されます

血液化学検査
・ビリルビンや電解質、リンなどの値を確認
・15症例の報告では、ケトン尿陽性群で総ビリルビン高値や電解質・リン低値を示す例があり、重症度評価にも役立つとされています

これらの情報を組み合わせて、糖尿病の有無や重症度、合併症の有無が判断されます。

治療について

糖尿病性ケトアシドーシスの場合

猫が痩せていて呼吸が荒く、尿にケトン体が出ている場合、糖尿病性ケトアシドーシスと診断され、入院による緊急治療が必要です。

  • 点滴による輸液療法
  • インスリンの持続的な投与
  • 電解質や酸塩基平衡の補正

などが行われ、危機を脱した段階で家庭でのインスリン療法へ移行します。

インスリン療法

インスリン依存性糖尿病の場合、生涯にわたるインスリン注射が基本となります。

  • 病院では、どのタイプのインスリンをどれくらいの量・頻度で投与するか を決めるために、血糖値の推移を詳細に測定
  • インスリン量が安定し血糖がコントロールされるまで、数週間〜1カ月程度、定期的な入院検査が必要になることもあります

インスリンの量が多すぎると、低血糖発作(ふらつき、けいれん、昏睡など)を起こす危険があります。
そのため、インスリン注射を行う家庭では急な低血糖に備えて砂糖水などを用意しておくことが勧められています。

食事と体重管理のポイント

少量頻回・血糖変動を抑える食事

糖尿病の猫の食事は、一度に多量を与えるより、少量の食事を数回に分けて与える方が良いとされています。

理由
・毎食後の急激な高血糖を抑え、血糖値の変動を小さくするため
・1日に何度も少しずつ食べる猫であれば、1日中自由採食も選択肢
・一度にたくさん食べるタイプの猫では、昼間に3〜4回に分けて少量ずつ与えるのが理想的

肥満猫の減量と注意点
肥満がある場合、高繊維の療法食を用いた体重管理が推奨されます。
ただし、急激な減量は肝リピドーシス(脂肪肝)を招く危険があり、安全な減量には2〜4カ月かけて、徐々に目標体重へ近づける必要があります。
猫は食事の変化に敏感で、療法食への切り替え時に食べなくなったり、長時間の絶食で肝リピドーシスのリスクが高まるといった問題もあります。

そのため、療法食は少し温める・好きなフードと混ぜるなど工夫しながら徐々に切り替えたり、どうしても食べない場合には、無理に糖尿病用フードだけにこだわらず「まず何かを食べてもらう」ことを優先し、早めに獣医師に相談することが重要です。

おうちでできる猫の糖尿病ケア

家庭での管理として次のような点が挙げられます。

尿の量・回数・色のチェック
・以前よりトイレの掃除が増えた/尿量が減ったなどの変化に気づく
・獣医師の指示で、尿糖・尿ケトン体を検査紙でチェックすることもある

食欲・嘔吐の有無・体重の変化
・食欲低下や嘔吐が続いたら早めに受診
・定期的に体重を測定し、増減を記録する

定期検査
・動物病院で血糖値や糖化アルブミンなどをチェックし、
・状態に応じてインスリン量や食事内容を調整

これらを通じて、「いつもと違うサイン」を早期にキャッチし、すぐに相談することが、長く良い状態を保つ鍵となります。

まとめ

猫の糖尿病は、飼い主さんと獣医師が協力し、猫の生活環境や食事、ストレスまで含めたトータルケアを行うことで、長く穏やかな時間を一緒に過ごすことが可能な病気です。
いつもと違うサインが見られたら獣医師に相談をするようにしましょう。

参考文献:
一般社団法人 日本臨床獣医学フォーラム(JBVP) 「猫の病気 糖尿病」
佐古絵理ほか(2002)「猫の糖尿病の15症例」動物臨床医学, 11(1), 13–17.
左向敏紀(2014)「猫の肥満と糖尿病の管理」ペット栄養学会誌, 17(第16回大会号), 27–28.

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監修獣医師:丸田 香緒里

◆丸田 香緒里 プロフィール

日本大学卒。動物病院勤務後、「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。ペット栄養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、メンタルケアカウンセラーなどの資格を生かし、病院での診療や往診のほかに、セミナー講師やカウンセリング、企業顧問、製品開発など活動は多岐にわたる。
HP:http://animallifepartner.com/

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