【獣医師監修】犬のストレスサイン
人間が気づかないうちに犬がストレスを感じていて、健康や行動に悪影響を及ぼすこともあります。ストレスを抱えた犬は、しぐさや態度などに小さなサインを示すので、これらをいち早くキャッチして、適切にケアしてあげることが、愛犬の心身の健康を守るうえで欠かせません。
今回は、犬が見せる主なストレスサインについて解説します。是非最後までご覧ください。
犬がストレスを感じる原因
犬は環境や人間の行動に対してとても敏感です。以下のような変化や状況が続くと、愛犬にストレスがかかりやすくなります。
- 生活環境の変化
- コミュニケーション不足
- 運動不足
- 過剰な干渉・叱責
それぞれ解説していきます。
生活環境の変化
引っ越しや模様替えなど、犬にとって慣れ親しんだ場所が変わると落ち着かなくなることがあります。ケージやトイレの位置が急に変わるだけでもストレスを感じることがあるため、環境を変える際は徐々に慣らしていく工夫が大切です。
コミュニケーション不足
飼い主が忙しくなって散歩や遊びの時間が激減すると、犬は欲求不満を抱えやすくなります。言葉を話せない分、人間のスキンシップや声かけが減ると孤独感を覚え、ストレスが蓄積することにつながります。
運動不足
犬種や年齢によって必要とする運動量は異なりますが、十分に体を動かせないとストレスを感じやすくなります。特にエネルギッシュな犬種の場合、散歩や遊びの時間が不足すると破壊行動や過度な吠えなどの問題行動が出やすくなります。
過剰な干渉・叱責
犬に必要以上に干渉したり、しつけのつもりで厳しく叱りすぎたりすると、恐怖や不安が強まってストレスになる場合があります。犬にとっては「飼い主の声が大きい」「怒られてばかり」という状態が続くと、精神的に追い詰められてしまうのです。
犬が示す主なストレスサイン
犬がストレスを感じたときに見せる典型的なしぐさや行動をいくつか紹介します。
これらのサインが長く続くようであれば、生活環境や接し方を見直すきっかけにしましょう。
- 口をなめる
- あくびをする
- 落ち着きがなくなる
- 体調不良や食欲不振
口をなめる
犬は不安や緊張を感じると、唇のまわりをペロペロと舐める行動をとることがあります。これは“カーミングシグナル”と呼ばれ、相手に対して「落ち着いて」「敵意はないよ」とアピールしている場合もありますが、内面的にはストレスを感じているサインでもあるのです。
あくびをする
人間にとってのあくびは「眠気」のサインが多いですが、犬が頻繁にあくびをする場合は、緊張状態やストレスを和らげようとする仕草であることがあります。飼い主が大声を出したり、初めて会う人や犬が周りにいるときなど、新しい状況であくびを繰り返す場合は、不安を感じている可能性を考えてみてください。
落ち着きがなくなる
室内をウロウロと歩き回ったり、しきりに吠えたりするのもストレスのサインのひとつです。とくに留守番が長く続くなど、飼い主とのコミュニケーション不足が原因の場合、飼い主が帰宅しても興奮がなかなか収まらないことがあります。普段は大人しい犬が急に落ち着きを失うようなら、ストレスレベルが高まっている可能性が高いです。
体調不良や食欲不振
ストレスが続くと胃腸の調子が乱れ、嘔吐や下痢、便秘といった症状が出ることがあります。また、食べ物の好みが急に変わったり、食欲自体がなくなったりするのも要注意です。まずは動物病院で診察を受けて原因を突き止め、身体的な問題が見つからなければストレスが大きく関与していると考えられます。
以下のような状態が見られたら注意が必要です。
- 過剰に吠える、鳴く、鼻を鳴らす
- 落ち着かない
- 犬や人に攻撃的になる
- 自分の尾を追いかけてグルグル回る
- 手足などを過度に舐めたりかじったりして、毛が抜けてしまう
- すぐに逃げたり隠れたりする
- 家具やケージなどを噛む
- 食欲不振、あるいは、食欲亢進
- 下痢
犬のストレスを軽減する方法
犬のストレスを軽減するためには、原因を取り除くもしくは緩和する工夫が必要です。以下のポイントを参考に、愛犬がリラックスできる環境づくりを心がけましょう。
- 十分な運動と遊びの時間を確保する
- 安心できる居場所を用意する
- しつけやトレーニングの見直し
十分な運動と遊びの時間を確保する
散歩の回数や時間を見直し、外でたくさん歩くだけでなく、公園など安全な場所で遊ぶ時間を作るのがおすすめです。ボール遊びやノーズワークなど、犬種や性格に合わせた遊びを取り入れると、ストレス発散につながります。
安心できる居場所を用意する
犬が落ち着けるベッドなどを用意し、そこでゆっくり休めるようにします。うるさくない場所や、冷暖房の効いた快適な温度の場所に設置すると安心感が高まります。
しつけやトレーニングの見直し
過度に叱ってばかりのしつけ方法は、犬の不安や恐怖を増幅させます。褒めることをメインにしたポジティブなトレーニングを取り入れ、愛犬が「これをすれば褒められる」という成功体験を積めるように工夫しましょう。トレーナーや獣医師に相談するのも一つの方法です。
複数頭数飼育の時は、
- 一時的に犬を隔離する
- それぞれの犬に不足なく愛情を注ぎ世話をする
- 犬同士の関係を見極め、犬を不安にさせないよう適切に対処する
といった対策も必要となります。
まとめ
犬は人間のように言葉で「つらい」「不安だ」と表現をすることはできません。しかし、その代わりに仕草や行動を通してストレスサインを示しています。
いつもとは違う様子が見られたら、まずは愛犬の生活環境や日々のコミュニケーションを振り返ってみてください。
ストレスの原因を見つけて、ストレスを軽減させる工夫をすることで、犬の心身の健康を守ることに繋がります。
参考文献:環境省「このような状態が見られたら」
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監修獣医師:丸田 香緒里
◆丸田 香緒里 プロフィール
日本大学卒。動物病院勤務後、「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。ペット栄養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、メンタルケアカウンセラーなどの資格を生かし、病院での診療や往診のほかに、セミナー講師やカウンセリング、企業顧問、製品開発など活動は多岐にわたる。
HP:http://animallifepartner.com/