【獣医師監修】ネコ白血病ウイルス(FeLV)とは?症状・検査・ワクチン・予防のポイント
ネコ白血病ウイルス(FeLV)は、流産や貧血・白血病・リンパ腫・免疫力低下など、さまざまな病気の原因となる重大なウイルス感染症です。
この記事では、FeLVの特徴・症状・検査の意味・ワクチンと予防を解説します。
ネコ白血病ウイルス(FeLV)とは
ネコ白血病ウイルス(FeLV)は、1964年に発見されたレトロウイルス科に分類されるRNAウイルスで、猫の白血病やリンパ腫などの血液のがん、貧血、免疫不全を引き起こすウイルスです。
白血病だけでなく、全身のさまざまな病気に影響
「白血病だけの病気」をイメージしがちですが、多様な病気の引き金になります。
- 貧血
- 免疫力低下による慢性的な感染症
- 流産・死産
- 腎臓病などの臓器障害
感染・発症した猫の多くは3〜4年以内に死亡
持続的にウイルスが体内で増え続ける「持続感染」の猫では、さまざまな病気を繰り返し、感染・発病した猫の多くは3〜4年以内に命を落とす可能性が高くなっています。
FeLVに感染しても必ずしも持続感染になるわけではなく、治る猫もいます。
治る猫と持続感染になる猫
FeLVに感染したあとの経過は、感染した年齢によって変わってきます。
年齢による持続感染のしやすさ
生まれたて(ごく若い子猫)で感染
→ ほぼ100%が持続感染になり、発病しやすく多くが死亡
離乳期を過ぎた子猫で感染
→ 約50%が持続感染、残りは免疫力でウイルスを排除
1歳以上の成猫で感染
→ 約10%のみが持続感染
つまり、若ければ若いほど、持続感染になりやすいことが分かります。
感染初期から「陰転」まで
感染後の流れは次のようになります。
感染後1〜2か月
- 発熱や食欲不振など、他のウイルス感染症と似た症状が出ることがあります。
- 場合によっては白血球減少、血小板減少、貧血などが起こり、動物病院にかかるほど重くなることもあります。
感染から3〜4週以降
- 血液検査(FeLV抗原検査)が陽性になる段階です。
その後の経過
- 猫の免疫力が勝てば、しばらくして血液検査は陰性(ウイルス検出なし)に戻ることがあります。
- 一度陰性に戻った猫は、その後同じウイルスには基本的に再感染しないと考えられていますが、骨髄の中にわずかにウイルスが残ることがあるため、特に1年間は妊娠など免疫が落ちる状況を避けるべきとされています。
- 最初に陽性と出ても、約4か月は「陰転」を期待して経過を見る価値があると説明されています。
4か月以上たっても陽性が続く場合、「持続感染」と判断され、その後も長期にウイルスが体内で増え続ける状態になります。
FeLVの症状「白血病だけではない多彩な病気」
FeLVは、血液のがんだけでなく、徐々に免疫や臓器にダメージを与えるウイルスです。次のような症状や病気が代表的です。
初期に見られることがある症状
- 発熱
- 食欲不振
- 元気がない
- 白血球や血小板の減少、貧血
こうした症状はFeLVに特有ではなく、他のウイルス感染でも起こりうるため、検査なしで見分けることはできません。
持続感染で問題となりやすい病気
貧血・白血病・リンパ腫などの血液疾患
- 赤血球が壊されたり、骨髄の造血機能が障害されることで、重度の貧血を引き起こします。
- FeLV陽性猫の一部では白血病やリンパ腫などの悪性腫瘍が発生します。
免疫力低下に伴う感染症(免疫不全)
免疫力が落ちることで、
- 口内炎・歯肉炎
- 皮膚や呼吸器の感染症
- 日和見感染(健康な猫なら問題にならない細菌・真菌などによる感染)
などにかかりやすくなります。
このように、FeLVは「白血病を起こすウイルス」にとどまらず、若い年齢でさまざまな病気を引き起こし、寿命を短くしてしまうウイルスといえます。
FeLVの検査で分かること
検査の目的
猫の血液を少量採取し、
- FeLV
- 猫免疫不全ウイルス(FIV)
- 猫伝染性腹膜炎(FIP)の一部検査
などを行うことで、致死的なウイルス感染の有無を調べることができます。
「FeLV陽性」とは
- 今一般的に行われているFeLV検査(スクリーニング検査)は、血液中に実際にFeLVウイルス(抗原)が存在するかどうかを調べる検査です。
- 陽性=血液中にFeLVが流れている状態を意味します。
ただし、1回陽性が出たからといって、その猫がこの先ずっと持続感染になるとは限りません。
FeLV陽性と言われたときの考え方
①再検査を行う
1回目で陽性でも、一時的なウイルス血症の場合があるため、
- 1か月後に再検査することが推奨されています。
- この間は、他の猫への感染リスクを避けるため、接触を控えます。
2回目に陰性となれば、「感染したが治った」とみなし、多くの場合、その後FeLVが問題になる可能性は低いと考えられます。
②4か月後の再々検査で「持続感染」かどうか判断
研究では、4か月ほどかかって陰転する例もあるとされており、最初の検査から約4か月後にもう一度検査し、それでも陽性であれば「持続感染」の可能性が高いと判断します。
③続感染=必ず白血病で亡くなる、ではない
持続感染だからといって「必ず白血病になる」わけではありません。
白血病になるのは持続感染猫の約20%程度と報告されており、むしろ
- 免疫力低下による感染症
- 貧血
などで問題になることが多いとされています。
「持続感染」とはウイルスが長期にわたり体内で増え、唾液などから排出されている状態を意味し、病名そのものではありません。
④検査をする意味
- 早くから状態を把握しておくことで、適切な対症療法や生活管理を先回りして行い、寿命を延ばせる可能性がある
- 他の猫にウイルスをうつさないようにするため、飼い主の責任として知っておいてほしい
FeLVの予防
①ワクチン接種
FeLVワクチンが販売されており、外に出る猫には接種が勧められています。
- 外出や他の猫との接触がある猫
例:外猫とのケンカが多い、庭やベランダに出る、多頭飼育で新しい猫をよく迎える などは、FeLVワクチンによる予防が重要です。 - 家の中にFeLV陽性の猫がいる場合
陰性の猫にはワクチン接種を行い、部屋を分けるなど接触を減らす配慮が必要とされています。
②完全室内飼育と接触コントロール
FeLVは主に唾液を介して感染するとされ、
- グルーミング(なめ合い)
- 共同の食器、ケンカによる咬傷
などが感染経路になります。
野良猫の中にFeLV感染猫はそれほど多くないとされていますが、ウイルスはそれほど強くないとはいえ、1歳未満で免疫の弱い猫の外出は、ワクチン未接種では注意が必要と述べられています。
③人や犬への感染リスク
FeLV陽性の猫と暮らしていても、人や犬がこのウイルスに感染する心配はありません。
FeLV陽性の猫と暮らすときのポイント
FeLV陽性、あるいは持続感染と診断された猫と暮らす場合でも、適切なケアと環境づくりで「その子らしい時間」をできるだけ長く保つことが大切です。
1.完全室内飼育を徹底する
他の猫への感染を防ぎ、外で新たな病気をもらってくるリスクも減らせます。
2.多頭飼育の場合は、陰性の猫と生活空間を分ける
共有食器を避ける、なめ合いをさせないなど、唾液を介した接触を減らすことが重要です。
3.定期的な健康診断・血液検査
・貧血や白血球異常などを早期に把握することで、対症療法を早く始めることができます。
・調査では、陰性猫と比べてFeLV陽性猫の平均寿命は短いものの、適切な管理により長く生きる例も報告されています。
4.症状に合わせた治療を行う
現時点でウイルスそのものを排除する治療法は確立していないとされていますが、
- リンパ腫や白血病には化学療法
- 二次感染には抗生物質
- 貧血には輸血など
症状ごとの治療を行うことで、苦痛の軽減と生活の質(QOL)の維持が期待できます。
まとめ
FeLVは決して軽い病気ではありませんが、正しい知識と適切な予防・ケアによって、愛猫と過ごせる時間を少しでも長く、穏やかなものにすることができます。
「外に出ることが多い」「多頭飼育をしている」「子猫を迎え入れたばかりで心配」など、不安があれば、まずはかかりつけの動物病院でFeLV検査やワクチンについて相談してみてください。
参考文献:
日本臨床獣医学フォーラム(JBVP)公式HP
下田哲也ほか(2001)「猫白血病ウイルス感染症の病態に関する研究」『動物臨床医学』9(4), 187–192.
水谷雄一郎ほか(2015)「鳥取県中部における過去10年間の猫白血病ウイルスおよび猫免疫不全ウイルス感染に関する回顧的調査」『動物臨床医学』24(4), 165–171.
Zesty Paws
監修獣医師:丸田 香緒里
◆丸田 香緒里 プロフィール
日本大学卒。動物病院勤務後、「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。ペット栄養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、メンタルケアカウンセラーなどの資格を生かし、病院での診療や往診のほかに、セミナー講師やカウンセリング、企業顧問、製品開発など活動は多岐にわたる。
HP:http://animallifepartner.com/
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- 成猫用 ローグレイン オーシャンフィッシュ:7-9mm
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