【獣医師監修】ドッグフードの選び方 老犬(シニア犬)編
シニアのフードは、何歳から?切り替え方や食べない時の対処は?と悩んでいる飼い主さんも多いと思います。
今回は、老犬のドッグフードの選び方を解説しますので、最後までご覧ください。
老犬用ドッグフードに切り替えるタイミング
まず気になるのが、うちの子はもうシニア?ということですよね。
一般的には、体の大きさによってシニア期の目安が変わります。
シニア期の目安
- 小型犬・中型犬:7〜8歳ごろ
- 大型犬:6〜7歳ごろ
年齢はあくまで目安です。
- 以前より疲れやすい
- 動きがゆっくりになった
- 白髪が増えた・毛ヅヤが落ちてきた
- 目が白く濁ってきた
- 体重が急に増えた/減った
こうした変化が見られたら、シニア用フードへの切り替えを検討するタイミングと考えて良いでしょう。
切り替えは「10〜14日かけて少しずつ」
急にフードを変えると、下痢や嘔吐など消化不良の原因になります。
- 1〜3日目:新フード 25% + 旧フード 75%
- 4〜6日目:新フード 50% + 旧フード 50
- 7〜9日目:新フード 75% + 旧フード 25%
- 10日目以降:新フード 100%
途中で下痢・嘔吐・かゆみなどが出た場合は、量を戻したり、一度獣医師に相談しましょう。
老犬用ペットフードで大事な栄養バランス
シニア用=カロリーとたんぱく質を減らせばいいというのは、最近では見直されつつあります。
太りすぎも痩せすぎもNG
加齢に伴い基礎代謝や活動量は落ち、若いころと同じ量を食べていると太りやすくなります。 一方で、筋力低下や病気があると、今度は食欲が落ちて痩せてしまうことも。
- 肥満気味 → カロリー控えめ・食物繊維多めのフードで体重管理
- 痩せ気味 → 消化しやすく、適度に高エネルギーなフードでカロリー確保
いずれの場合も、月1回は体重・ボディコンディションスコア(BCS)をチェックして調整するのがおすすめです。
ボディコンディションスコア(BCS)についてはこちらの記事をご覧ください
シニアこそ「質の良い」十分なたんぱくを
以前は「腎臓に負担がかかるからシニアは低たんぱく」と言われることもありましたが、健康な高齢犬ではむしろたんぱく質が重要ともいわれています。
筋肉量の維持、免疫力の維持、皮膚・被毛の健康が大切なため、消化吸収の良いチキンやフィッシュなどの高品質なたんぱく源を使ったフードを選びましょう。
腎臓病・肝臓病などがある場合は、獣医師の指示に従った療法食が最優先です。
シニア犬用フードは、商品ごとに配合量が異なるため、愛犬の悩み(関節・体重・皮膚など)に合うものを選ぶようにしましょう。
老犬がフードを食べない時の原因と対策
歳を取ると、足腰や首まわりの筋力が落ち、頭を下げて食べる姿勢が負担になることがあります。
対策
- フードボウルの高さを、胸〜肩の少し下くらいに調整
- フローリングなら、滑らないマットを敷く
また、老犬では嗅覚の低下により、香りの弱いフードは、美味しさを感じにくくなります。
対策
- ぬるま湯(人肌〜40℃程度)でふやかして香りを立たせる
- 香りの良いウェットフードやトッピングを少量混ぜる
歯周病・口の痛み
歯周病や歯のぐらつきなどで、噛むこと自体がつらいケースも出てきます。
歯周病については、こちらの記事をご覧ください。
老犬のアレルギー対策
加齢とともに、
- 皮膚のバリア機能低下
- 免疫バランスの変化
などが起こり、それまで軽かったアレルギー症状が目立つようになることがあります。
- かゆみ
- フケ・ベタつき
- 下痢・軟便
などが続く場合、フード由来の食物アレルギー・不耐性が隠れていることも。
自己判断での試行錯誤はリスクもあるので、獣医師と相談してフードを選択するようにしましょう。
ラベルと表示
日本では、ペットフードの表示ルールをペットフード公正取引協議会が定めており、その中で「総合栄養食」とは、そのフードと水だけで指定された成長段階の健康を維持できる、栄養バランスのとれた製品とされています。
「主食」として毎日与えるフードのため、きちんと以下の表示があるか確認しましょう。
目的:総合栄養食
対象:シニア用
日本の「ペットフード安全法」で守られていること
日本では 2009年に 「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(ペットフード安全法)」 が施行され、以下のことが定められています。
- 有害物質・農薬・汚染物質などの 成分規格
- 製造方法の基準
- 事業者の届け出
- パッケージへの表示義務(原材料、賞味期限、原産国など)
- 問題発生時の 回収命令・廃棄命令
つまり、日本国内で正規に流通している犬猫用フードは、一定の安全基準を満たしていることになります。
そのうえで、
- どの栄養基準を使っているか(AAFCO / FEDIAF 等)
- 原材料の質や産地
- 添加物の種類
といった、メーカーごとのこだわりを比較しながら選んでいくのが良いでしょう。
AAFCO・FEDIAFなどガイドライン
パッケージに「AAFCO」「FEDIAF」といった表示がある場合、そのフードは、
- AFCO(米国飼料検査官協会)
- EDIAF(欧州ペットフード工業会連合)
など、海外の栄養ガイドラインに沿って設計されていることを意味します。
これらは国際的に広く利用されている基準で、フードを選択する際の目安となります。
日本の「ペットフード安全法」と表示義務
日本では「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(ペットフード安全法)」により、下記の内容が定められています。
- 有害物質や農薬・汚染物質などの上限値(成分規格)
- 製造方法の基準
- パッケージへの表示義務(名称・原材料名・賞味期限・原産国・製造業者名と住所)
法律の基準を満たさないペットフードの製造・輸入・販売は禁止されており、問題があれば回収命令なども行われます。つまり、日本国内で正規に流通している犬猫用フードは、一定の安全基準をクリアしていると考えてよいでしょう。そのうえで、各メーカーごとの品質やこだわりを比較して選ぶことが大切です。
添加物
「無添加」「添加物フリー」という言葉は人気ですが、実際には、
- 合成保存料・防腐剤
- 合成着色料
- 合成香料
といった「合成添加物を使っていない」という意味であることが多いです。
一方で、日本のペットフード安全法で認められている添加物は、許容範囲内で使用される限り、安全性が評価されています。「添加物=すべて危険」というわけではありません。
ただし、
- できるだけシンプルな原材料だけで作られたフードを選びたい
- 合成保存料・着色料は避けたい
という飼い主さんも多く、そのニーズに応えるために「合成添加物不使用」のプレミアムフードが増えています。
「安すぎるフード」はなぜ注意が必要?
ペットフードの価格の大部分は原材料費で決まります。
- 極端に安価なフードの場合、
- 肉の使用量が少なく、穀類や副産物の比率が高い
- たんぱく質・脂質・ミネラルなどのバランスが最小限
- 長期保存のために合成防腐剤への依存度が高い
といったケースもあり、成長期の子犬にとっては望ましくない場合があります。
「高い=絶対に良い」わけではありませんが、「安すぎるフード」には理由があると考え、原材料表示を確認したうえで選びましょう。
まとめ
愛犬の健康を守るために、適切なフードを選ぶことが大切です。
年齢を重ねても、「よく食べ、よく眠り、よく甘えてくれる」そんなシニアライフをサポートできるよう、愛犬に合ったペットフードを選んであげてください。
参考文献:
環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」
WSAVA Global Nutrition Committee 「Recommendations on Selecting Pet Foods」
Zesty Paws
監修獣医師:丸田 香緒里
◆丸田 香緒里 プロフィール
日本大学卒。動物病院勤務後、「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。ペット栄養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、メンタルケアカウンセラーなどの資格を生かし、病院での診療や往診のほかに、セミナー講師やカウンセリング、企業顧問、製品開発など活動は多岐にわたる。
HP:http://animallifepartner.com/






