【獣医師監修】猫の腎臓病を解説!原因と治療・予防のポイント
猫の腎臓病は高齢猫に多く見られる慢性疾患です。
特に高齢の猫においては、慢性腎臓病を抱える猫ちゃんの割合も高くなるため、早期発見と日常的なケアが重要となります。
今回は、猫の腎臓病の原因、治療、そして予防のポイントを解説します。
猫の腎臓病とは
腎臓は体内の老廃物を排出し、水分やミネラルのバランスを保つ重要な臓器です。
猫の腎臓病は、急性腎臓病と慢性腎臓病があり、慢性腎臓病は、一度進行すると元の状態には戻らないという特徴があります。
早期発見と進行抑制のための対応が非常に重要となります。
慢性腎臓病の発症率は、年々のびており、1980年代に0.04%であったものが,1990年代には0.2%になり、2000年代には1%になっている。
猫の腎臓病にはさまざまな原因が関与しています
加齢:加齢に伴う腎機能の低下が、腎臓病の原因とされています。そのため、高齢猫になるとリスクが高まります。
遺伝的要因:一部の猫種では腎疾患の発症リスクが高いとされています。
特に猫の多発性嚢胞腎は遺伝する病気として知られています。
食事の質:高リン・高ナトリウムの食事は腎臓への負担が大きく、長期的に摂取すると腎機能に影響を与えることがあります。
特に人間の食べ物や塩分の強いおやつには注意が必要です。
犬が食べてはいけないもの >
猫が食べてはいけないもの >
水分不足:水分摂取が不足していると、腎臓に老廃物が滞りやすくなり、機能の低下を招きます。
ペットに必要な水分量 >
治療方法
猫の腎臓病に対する治療は、進行度に応じて異なります。
根本的な治癒は難しいものの、以下のような対処で進行を緩やかにする可能性があります。
食事療法:リンやタンパク質、ナトリウムの量が調整された腎臓用の療法食を与えることが大切です。
与える際は、味の好みに敏感な猫には、嗜好性にも配慮が必要です。
水分補給:猫が水を飲みやすいように複数の水飲み場を設ける工夫も有効です。
通常のお水だけではなく、ウェットフードの活用による水分摂取も有効です。
薬を使用した治療:年齢や症状などを診察した上で、薬を処方します。
処方する薬には、セミントラ やフォルテコールなどが挙げられます。
まとめ
猫の腎臓病は静かに進行する慢性疾患であり、飼い主が気づいた時にはすでに病状が進んでいるケースも少なくありません。
しかし、早期発見と日常のケアによって進行を遅らせることができます。
大切なのは、早めの検査・適切な食事・十分な水分補給を意識することです。
高齢猫には、年1〜2回の健康診断をするように、わずかな変化も見逃さないでください。
参考文献:
環境省. 「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」
水谷雄一郎・髙島一昭・髙島久恵・小笠原淳子・山根剛・山根義久(2023)「猫のワクチン接種と慢性腎臓病および予後に関する回顧的調査」動物臨床医学,32(1),11–18.
迫田順哉(2023)「ペットフードで使用される主なカルシウム、リン、マグネシウム源原料(後編)」『ペット栄養学会誌』26(1), 37–48.
Zesty Paws
関節・肝臓・消化器ケアや心臓の健康、免疫機能のサポート、整腸作用、自律神経の調整といったさまざまな目的に合わせたサプリを選べます。
監修獣医師:丸田 香緒里
◆丸田 香緒里 プロフィール
日本大学卒。動物病院勤務後、「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。ペット栄養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、メンタルケアカウンセラーなどの資格を生かし、病院での診療や往診のほかに、セミナー講師やカウンセリング、企業顧問、製品開発など活動は多岐にわたる。
HP:http://animallifepartner.com/






