【獣医師監修】ペットの治療にかかる費用の目安
大切な家族の一員であるペット。年齢を重ねると病気のリスクが高まり、手術や検査が必要になることもあります。
手術や検査は思いがけない高額な費用がかかることもあるため、不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
今回は、ペットにかかる治療費について解説します。
ペット治療費用
まず知っておきたいのは、動物病院の治療費は自由診療であるという点です。
つまり、同じ内容の診療であっても、動物病院ごとに料金設定が異なります。公的な価格基準が存在しないため、地域や病院の設備、治療方針によっても差が出ます。
治療費の例(犬の場合)
| 順位 | 傷病名 | 1頭あたりの年間診療回数 | 1頭あたりの年間平均診療費(円) |
| 1 | 原因未定の外耳炎 | 2.9 | 39,782 |
| 2 | 弁膜症 | 8.3 | 225,810 |
| 3 | 嘔吐/下痢/血便(原因未定) | 2.8 | 36,198 |
| 4 | 胃炎/胃腸炎/腸炎 | 1.7 | 38,920 |
| 5 | 原因未定の皮膚炎 | 3.1 | 49,689 |
| 6 | 膿皮症/細菌性皮膚炎 | 3.2 | 51,986 |
| 7 | 慢性腎臓病(腎不全含む) | 13.1 | 243,339 |
| 8 | アレルギー性皮膚炎(抗原特異的) | 4.7 | 96,850 |
| 9 | アトピー性皮膚炎 | 5.6 | 123,723 |
| 10 | てんかん | 6.9 | 154,723 |
※参考:アニコム損害保険株式会社
治療費の例(猫の場合)
| 順位 | 傷病名 | 1頭あたりの年間診療回数 | 1頭あたりの年間診療費(中央値/円) |
| 1 | 腸閉塞 | 2.2 | 155,280 |
| 2 | 鼻腔内腫瘍 | 8.4 | 141,487 |
| 3 | 子宮蓄膿症 | 2.5 | 118,960 |
| 4 | 乳腺腫瘍/乳腺腫瘤 | 4.9 | 116,776 |
| 5 | 糖尿病 | 9.6 | 109,670 |
| 6 | その他のリンパ組織/造血組織の腫瘍 | 8.2 | 102,300 |
| 7 | 胆石症 | 8.3 | 100,930 |
| 8 | 横隔膜ヘルニア | 3.1 | 100,705 |
| 9 | その他の胸腔内の腫瘍 | 5.0 | 96,799 |
| 10 | 肺水腫(原因未定) | 4.0 | 84,150 |
※参考:アニコム損害保険株式会社
これらの金額はあくまで一例であり、種類や体重、入院の有無などによっても変動します。
犬の予防接種についてはこちらの記事をご覧ください
検査にかかる費用も見逃せない
病気の早期発見や術前・術後の確認のためには、各種検査が必要になります。
特に高齢のペットでは定期的な健康診断が推奨されています。
ペットの血液検査・健康診断についてはこちらの記事をご覧ください
費用トラブルや不満も
国民生活センターによると、ペットの医療費に関する相談やトラブルもあります。
例えば、ペット保険で補償対象となる範囲についての誤解の問題があります。
ワクチン接種や不妊去勢手術は病気の治療ではないためペット保険の対象にはなりませんが、認識の齟齬によってトラブルになることもあります。
こうしたトラブルを避けるためにも、動物病院だけではなく、保険会社やペットに関わる企業が情報を提供し、飼い主は、家族であるペットに関わる情報を日頃から収集しておく必要があります。
動物病院においては診療前に費用の見積もりを確認し、治療内容について十分な説明を受けることが大切です。
費用に備える3つの方法
いざというときに慌てないためには、日頃から準備しておくことが重要です。
複数の動物病院を比較
信頼できる動物病院を複数確保しておくと、緊急時にも選択肢が広がります。
事前に費用の方針や設備を確認し、自分とペットに合った病院を見つけておくことが重要です。
動物病院についてはこちらの記事をご覧ください
ペット保険への加入
動物医療費の負担を軽減する方法として、多くの飼い主が検討しているのがペット保険です。
保険により補償内容や支払限度額は異なりますが、手術にかかる費用の50〜70%程度をカバーしてくれるプランもあります。
特に高齢期に入る前の備えとして、検討してみても良いでしょう。
ペット保険についてはこちらの記事をご覧ください
積立・備え貯金
毎月少額でもよいので、ペット医療費専用の積立をしておくことも効果的です。
数千円ずつ積み立てるだけでも、数年後には大きな安心につながります。
まとめ
ペットの治療は決して安くない費用がかかりますが、命や健康に関わる問題である以上、必要な治療を躊躇なく受けさせたいものです。
費用について不安を感じたら、まずは信頼できる動物病院で見積もりを取り、説明を受けましょう。
また、ペット保険などを通じて、いざというときの備えをしておくことが、飼い主とペットの安心につながります。
参考資料:
環境省「飼う前も、飼ってからも考えよう」
国民生活センター「ペットと暮らす」
国民生活センター「ペットを飼うときに知っておきたい知識」
アニコム損害保険株式会社 公式HP
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監修獣医師:丸田 香緒里
◆丸田 香緒里 プロフィール
日本大学卒。動物病院勤務後、「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。ペット栄養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、メンタルケアカウンセラーなどの資格を生かし、病院での診療や往診のほかに、セミナー講師やカウンセリング、企業顧問、製品開発など活動は多岐にわたる。
HP:http://animallifepartner.com/






