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子供とペットの未来を考える「心のワンヘルス」~未来トリマーシンポジウム~

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皆さまは子供とペットの関わりについて考えたことはありますか?可愛いだけでなく、癒しや学びも与えてくれて、自己肯定感や心の支えとなってくれるペットたち。今回は、未来を担う子供たちとペットの「ワンヘルス」についてのお話です。

【ペットとのふれあいが子供の成長に及ぼす影響について】

(東京農業大学 農学部 バイオセラピー学科教授 農学博士 太田光明先生)

動物との関わりは情操教育に良い

命のぬくもりを感じられ、人とは違うユニークな存在である動物。こちらの動きにたいして鳴き声や全身を使って応えてくれます。動物を活用した情操教育によって、慈しみや寛大さを育む良い機会になるのではないでしょうか。

動物と関わるステップ

1見て楽しむ
小鳥や熱帯魚などかわいらしいものや美しいものを見て喜びを感じたり、野生動物の動きによる疾走感を感じて興奮したり、動物を見ることによって癒されたり感動することができます。また、仔犬や仔猫などの幼体のしぐさに、人はいとおしいという感情を持ち心が潤います。
2さわる
動物のふわふわした毛やざらざら硬い皮膚に手が触れるときの感触やなでるという行為はストレスを和らげ生理的によい効果をもたらします。また、馬を触ったときには人より高い体温や心臓の鼓動に「命の躍動」を感じることができます。
3世話をする
ペットは人が世話をしないと生きていけません。人は犬や猫にエサを与えたりブラッシングしたりすることによって、充実感を覚えるとともに「自分が必要とされている」ことを意識させられます。動物にとっても人にエサをもらうということは大きな喜びであるため、人の自己肯定感やコミュニケーション能力を高めてくれます。

ペットとのふれあいは、頑張る人を支えてくれる

動物を介在した活動がもたらすもの
・オキシトシン
幸せホルモンといわれる、オキシトシン。相互コミュニケーションによってオキシトシンは人と犬双方から出ます。犬が人をみつめること(愛着行動)や、人が犬をなでること(養育行動)によって放出されます。
子供たちを対象に犬とのふれあい前後にオキシトシンを測定した結果、幸せホルモンのオキシトシンは2倍と有意な上昇をしました。逆に、ストレスホルモンのコレチゾールは低下したという結果が出ています。
・ドーパミン
脳内の神経伝達物質で、嬉しいことや楽しいことがあると分泌されることから「脳内報酬」と呼ばれています。
闘病中のこども病院の子供たちは犬とのふれあいの前後でオキシトシンの上昇と共にドーパミン神経の活性化が確認されました。犬とのふれあいは頑張る子供を支えてくれます。
子供が10歳までに犬との触れ合いによってドーパミンを出すと、その後の健康によいことが分かっています。また、高齢者に対しても犬とのふれあい活動によって、もともと低い傾向にあるドーパミンの活性化が確認されています。

犬の幸せのために

飼い主がよくほめてコミュニケーションをとりながらゲームを楽しませることと、朝夕30分以上の散歩がオキシトシン(幸せホルモン)上昇やドーパミン(脳内報酬)活性化に効果的だということです。

【子供のそばにペットがいるということ】

(日本ペットサミットJ-PETS 代表 西村亮平)

Love of nature
バイオフィリア(Bio=生命・生き物・自然)+(philia=愛好、趣味)という、人は生まれつき生き物に興味があるという仮説があります。また、動物好きはDNAに組み込まれていて遺伝的特徴があるという研究結果も出ています。遺伝子の違いによって、少ないチャンスで動物を好きになれる人と、多くの機会が必要な人の違いが出てくるようです。幼少期に動物とポジティブに関わる機会を増やすことは、その後の人生の向上に大きな役割を果たすと言えるでしょう。

子供に対して期待される効果

発育・発達面
・他者に共感できる心を持ち、よりよい関係を築く
・責任感や思いやりの心を養う
・動物や自然を気遣うようになる
・教室に動物がいると出席率が上昇し、より集中する
訓練された犬がいると、モチベーションが高まり、リラックスして自信をもって物事に取り組める。また、心の支えや親友となり子供の居場所や逃げ場を作る。
健康・医療面
・運動量が増える(肥満防止の面からも重要)
・喘息などのアレルギー疾患の予防
・自閉症や所外を持つ子供を助ける
・病気や怪我などからの回復やリハビリの促進
犬を飼っている子供の方が飼っていない子供よりも外を歩いたり運動したりする割合が高く、運動促進と肥満予防の効果が確認されている。また、1歳前までにファームアニマル(親についた動物の毛など)に暴露されると小児喘息のリスクが低下することが分かっている。

ファシリティドッグ

病院などの特定の施設で、職員の一員として活動するために、専門的なトレーニングを積んだ犬のことです。入院中のつらさにそっと寄りそう「心のケア」を得意としています。子どもたちのストレスを軽減する効果は、近年の研究でたくさんの結果や報告が上がっています。
このような動物の存在により、子供の情緒の安定と発達はもちろん、ある種の逃げ場や心の支えとなりうる重要な役割を持っています。
シャイン・オン・キッズ~ファシリティドッグ・プログラム~

http://sokids.org/ja/programs/facility-dog/

【パネルディスカッション ~ペットとはぐくむ子供の未来の可能性~】

パネラー:鹿野正顕 先生
(株式会社 Animal Life Solutions 代表取締役、動物介在教育療法学会(ASAET)理事)
渡辺千歳 先生
(東京未来大学 こども心理学部教員臨床発達心理士)
中島かおる 先生 ((社)KMDOG Japan / KM DOG CO( USA)代表、国際グルーマー)

大人が先導して、動物との良い付き合い方を学ぶ機会を与えることが大切

・動物の飼育によって、優しさや思いやりを持つ心が育まれる。自分が無条件に受け入れられているという感覚が、心の成長や発達に良い影響をもたらす
・動物について正しく学ぶ機会が必要。動物に咬まれたり追いかけられたりして心の傷を作らないように、安全のための行動学をプロではなく周りの大人たちから学ぶ環境があるといいと思う。よく見かける「ふれあい」は動物の福祉を考えておらず、接し方や生態の勉強にもならないものが多く、悪影響。
・動物によって人生を変えられることや、犬を通じて人との心が通じることも多い。大人が導いてあげれば、日本もこれからますますペットと楽しく暮らせる社会になっていくと思う。

子供とペットの未来を考える「心のワンヘルス」

人と動物が支え合いながら共生できる社会は理想ですが、そのためには人の都合や思いばかりではなく動物の特性を見ながら寄り添っていく態度が必要です。プロの手を借りるだけでなく、周りの大人たちがお散歩中の愛犬を安全に触らせてあげたり、猫の好きなものを教えてあげたりするなど、動物を正しく知る機会を子供に与えてあげることもできますね。子供とペットの未来をより明るく充実したものにするために、私たち大人ができることは意外と多くあるのかもしれません。

ライター:北川真帆

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